2008 Fiscal Year Annual Research Report
日本型証券取引システムに関するマーケット・マイクロストラクチャー研究
Project/Area Number |
20730221
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Research Institution | Meisei University |
Principal Investigator |
井坂 直人 Meisei University, 経済学部, 講師 (00434192)
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Keywords | 金融論 / 経済統計学 / ファイナンス / マーケット・マイクロストラクチャー / 実証ファイナンス |
Research Abstract |
本年度は以下の3つの研究に従事してきた。第一に、日本型の注文駆動型取引システムに関して、欧米のファイナンス研究者による指値注文のブック形成に関する構造型計量モデルのサーベイを行った。同時に、計量経済分析で用いる日本市場の株式データに関するデータ整備を進めてきた。今後は、株式データを拡充するとともに、日本市場のデータに適応可能な計量モデルをベースにして、計量分析を進めていく予定である。 第二に、日本の上場企業による売買単位の変更(くくり直し)が、株式収益率の決定に及ぼす影響を実証的に検証してきた。2001年10月から2005年3月に実施されたくくり直しの前後一年間の株式収益率を分析することにより、(1) くくり直し前の株式収益率には固有リスクに対するプレミアムが反映していたこと、(2) 売買単位の引き下げにより、個人株主が増加し、固有リスク分散が進んだ企業ほど、プレミアムが低下していたことが明らかとなった。コントロール・サンプルを構築し、詳細な分析を試みたが、実証結果は非常に頑健であった。この研究成果は、2008年3月発行の査読付きのファイナンス学術誌に掲載済みである。 第三に、証券化商品の発行利回りの決定要因に関する実証論文を改訂し、オリジネーターの劣後保有が発行利回りに及ぼす影響を検討した。本論文は、アジア・ファイナンス国際学会での報告に採択されており、本年7月開催の学会で報告する予定である。
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