2009 Fiscal Year Annual Research Report
日本型証券取引システムに関するマーケット・マイクロストラクチャー研究
Project/Area Number |
20730221
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
井坂 直人 Sophia University, 国際教養学部, 准教授 (00434192)
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Keywords | 金融論 / 経済統計学 / ファイナンス / マーケット・マイクロストラクチャー / 実証ファイナンス |
Research Abstract |
本年度は、まず、日本の指値注文に関する取引データを整備した上で、注文駆動型取引システムに関する計量経済モデルを日本の株式市場への適用することを試みてきた。その結果、既存研究で用いられた計量経済モデルは日本の株式データにも適用可能であり、指値注文データと整合的な注文処理コストや逆選択コストの推計に利用可能であることが確認された。計量経済モデルの検定結果からは、モデルの妥当性を示す結果も得られている。また、この計量経済モデルを用いて、2007年にくくり直しを行った一部の銘柄を分析したところ、くくり直しを契機として事務処理コストが低下するとともに、逆選択コストが若干上昇することを示唆する結果も得られている。 しかしながら一方で、既存研究の計量経済モデルには異なる定式化を試みる余地が残されており、日本市場のティックデータの加工方法に関しても修正すべき点が残されている。これらの点を改良することにより、異なる実証結果が得られる可能性も否定できない。来年度の研究では、計量経済モデルの改良と日本市場のティックデータ加工の両方の観点から、日本型取引システムの分析により適した分析手法を追求し、個別銘柄の流動性や価格発見機能に関する実証分析に結び付けていきたい。 その他の研究としては、証券化商品の発行利回りの決定要因に関する実証論文を2010年7月に開催されたアジア・ファイナンス国際学会にて報告した。その後、討論者のコメント等を踏まえて論文を改訂し、改訂論文をファイナンスの学術誌に投稿した。
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