2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20730223
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Research Institution | Nagoya Gakuin University |
Principal Investigator |
澤田 充 Nagoya Gakuin University, 経済学部, 准教授 (10410672)
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Keywords | キャピタルクランチ / 金融危機 / 預金保険 / 銀行貸出 |
Research Abstract |
本研究は、預金保険制度が存在しなかった戦前日本の銀行産業のデータを用いて、金融危機下における銀行の貸出行動やポートフォリオ選択について考察を行うものであり、特に、資本毀損に陥った銀行が資産ポートフォリオ選択において貸出債権などの危険資産から安全資産へシフトさせるキャピタルクランチと呼ばれる現象を検証することに焦点を当てるものである。その際、銀行資本を正しく計測するために株価データを利用して市場評価による資本水準を算出し、それらを銀行のリスク指標として用いて分析を行うことが本研究の特徴である。 まず、本年度は、分析対象となる銀行群を選別するために、1920年から1936年の『株式年鑑』(野村商店調査部・大阪屋商店調査部)を用いて、株式市場に上場していた銀行をピックアップした。期間の選別に関しては、1920年は対戦ブームによるバブルが崩壊した年であり、1937年以降は日中戦争開始による戦時経済統制の影響を受ける可能性に配慮したものである。 そして、それらの銀行について同資料から財務諸表に関するデータベースを完成させた。ただし、同資料の財務諸表は勘定項目が銀行間で必ずしも統一されておらず、情報が不十分な箇所が散見されたため、これらについては営業報告書などを用いて補完する予定である。また、株価の情報に関しては、各年の最高値と最低値の情報しか得られておらず、来年度に国立国会図書館もしくは日経テレコム21からより詳細なデータを入手する予定である。
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