2009 Fiscal Year Annual Research Report
西アフリカで経済成長に貢献しうる通貨統合に関する実証分析
Project/Area Number |
20730225
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Research Institution | Osaka Gakuin University |
Principal Investigator |
杉本 喜美子 Osaka Gakuin University, 経済学部, 准教授 (70351434)
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Keywords | 最適通貨圏 / 西アフリカ / 購買力平価 / 一次産品価格 |
Research Abstract |
本研究は、(1)西アフリカという途上国地域で最近活発化してきた通貨圏創設に向けた動きが、各国の経済成長に本当に貢献するのか、(2)現実に通貨統合する際、アンカー通貨の選択を含め、どういった制度作りをしていくべきか、というテーマを検証する。今年度は、平成21年度9月まで取得した研究休暇(受け入れ先:パリ第一大学)を利用し、パリ経済研究所(La Maison des Sciences Economiques)でのセミナーに参加、実証分析に必要なデータを収集、同分野の研究者と共同論文を執筆、発表した。 具体的には、途上国特有の輸出産品(一次産品)依存経済であることを踏まえ、Frankel, J. A. (2005, Journal of Policy Modeling)が提唱する輸出価格固定制度をも含めて、西アフリカ全体で共通通貨圏を創設する場合、ドル・ユーロ・元もしくは輸出価格など、どのアンカー通貨を選択することが望まれるのか、輸出額の最大化及び安定性・その分散の最小化の観点から分析した。さらにSjaastad, L. (1998, Journal of International Money and Finance)が用いたDependent Economyモデルにより、均衡為替レートを導出し、為替のミスアラインメントの程度を推計した。 結果、西アフリカ全体で通貨圏を形成する場合、そのアンカー通貨は、ユーロ導入以降現在に至るまで一貫してすべての観点から見て他通貨を凌駕する最適な通貨を見つけることができなかった。1)一次産品価格の変動に応じてアンカー通貨を流動的に設定するか、2)バスケットペッグでの運営を行うか、3)政策目標を絞るのか、のいずれかの選択肢が望まれることがわかった。したがって、現段階では、西アフリカ全体で維持可能な共通通貨圏を創設することは難しいという政策的インプリケーションを導出した。
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Research Products
(2 results)