2008 Fiscal Year Annual Research Report
地方分権下における政府間協調の形成と維持に関する研究
Project/Area Number |
20730226
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Research Institution | Hiroshima Shudo University |
Principal Investigator |
山口 力 Hiroshima Shudo University, 経済科学部, 准教授 (60435047)
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Keywords | 租税競争 / 租税協調 / 繰返しゲーム |
Research Abstract |
平成20年度は4年計画の初年度であり、予定した年次計画に従い、「課税協調」および「繰返しゲーム」に関する理論モデルの整理検討を精力的にすすめるとともに、理論構築および分析、論文作成を行った。 本研究は、地域間の政策協調がどのように均衡において形成・維持されるかを繰返しゲームを用いることで分析することを目的としている。一般的に、協調行動が維持されるか否かは各主体の将来利得に対する割引率に依存し、割引率が低くなるにつれて、将来の効用損失を高く評価することを通じて、政策協調する誘因が高まる。そこで、本研究では全ての地域による政策協調ではなく一部の地域による部分的協調の可能性に焦点を当て、租税競争モデルに適応し、次のような結果を得た。 ・協調する地域の割引率が十分に大きければ、資本課税の部分協調は繰返しゲームのサブゲーム完全均衡として維持可能であり、部分協調する地域数が多く(少なく)なるにつれて協調維持は困難(容易)となる。 ・租税競争の激化(緩和)、すなわち、協調、非協調を合わせた全地域数の増加(減少)は、部分協調維持をより容易(困難)にする。 ・地方公共財に対する住民の選好が高まると部分協調はより維持されやすくなる。 これらの研究成果は『Partial tax coordination in a repeated game setting』として論文にまとめられ、現在は専門雑誌に投稿中である。
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