2008 Fiscal Year Annual Research Report
投資の非可逆性とタイムラグが市場に与える影響の分析:実験経済学的アプローチ
Project/Area Number |
20730227
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Research Institution | Hiroshima Shudo University |
Principal Investigator |
草川 孝夫 Hiroshima Shudo University, 経済科学部, 准教授 (00412289)
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Keywords | 投資の非可逆性 / 投資のタイムラグ / 実験経済学 / 行動ファイナンス / バブル |
Research Abstract |
本研究の目的は、実験経済学の手法を用いて次の二つを明らかにすることである。 一つ目は、実物投資の技術的な特徴である非可逆性(一度設備投資を実行するとコストを支払うことなく元の設備水準に戻すことはできなこと)とタイムラグ(設備投資の意思決定を行ってから設備が稼働し始めるまで時間がかかること)の存在が、その設備から生産される財の市場価格やその投資によって価値が変動する証券の市場価格にどのような影響を与えるのか(バブルを生み出す傾向があるのかどうか)という点である。 二つ目は、価格が実物投資の影響を受けやすい環境において、どのような制度を導入すれば市場で望ましい価格付けがなされるのか(バブルの発生を防ぐことができるのか)という点である。 本年度は、来年度以降に実施する予定である上記の一点目を解明するための実験の準備として実験デザインの検討を行った。より具体的には、次のような点についての実験ルールの大枠の検討を行った。すなわち、全部で何期間の取引にするのか、投資のタイムラグは何期間にするのか、どの程度の強さの非可逆性を導入するのか、取引方法としてはどのような方法を用いるのか、1セッションにつき何人の被験者間で売買を行わせるのか、取引時間の長さとしてはどれくらいが適切か、投資の意思決定のための時間の長さはどのくらいにするのがよいか、生産関数はどのような形状にするのがよいかなどである。 この実験により上記の一点目を解明できた場合、引き続き二点目を明らかにするための実験を行う。この実験は、現実社会におけるバブルの発生・崩壊を防ぐための政策手段の提供につながるであろう。
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Research Products
(1 results)