2008 Fiscal Year Annual Research Report
中華民国期、内モンゴルにおける統治システムの再構築-熱河省の土地制度改革をもとに
Project/Area Number |
20730229
|
Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
広川 佐保 Niigata University, 人文社会・教育科学系, 准教授 (90422617)
|
Keywords | 内モンゴル / 土地問題 / 中国 / 中華民国 / 熱河省 |
Research Abstract |
20年度は、内モンゴルにおける中華民国政府の統治システムの再構築について明らかにするために、熱河省政府の土地制度確立の内容について検討をおこなった。まず台湾・国史館において、中華民国期の内モンゴル史に関する資料調査、および資料収集を実施した。これと並行して、民国期の新聞のマイクロ資料を購入し、分析を進めた。これらの作業により1920年代後半から1930年代初頭における、中国東北、および熱河省地域で実施された地方政府の諸政策や地方の社会・経済的状況を把握することにつとめた。そのさい中華民国成立以降、熱河地域においてどのような行政制度の再編が行われたのか、そしてこれと同時に実施された土地制度改革がどのような社会経済的意味をもっていたのか、という点に着目し、以下の点が明らかになった。(1)民国期に入るまで、熱河地域では、清朝時代の統治機構が踏襲され、モンゴルの伝統的統治体制が、弱体化しながらも維持され、モンゴル人と入植者である漢民族の間でも、伝統的な土地権利関係が保持されていたこと。(2)しかし、熱河省設立以降、土地制度改革により、旗に対する省の権限が強まったこと。(3)熱河省政府による土地制度改革は、現地の秩序を混乱させ、支配体制の転換点となったこと。(4)土地制度改革により、熱河蒙地における漢民族の土地に対する権利意識が高まり、モンゴル側の権利が相対的に弱まったこと。以上の研究成果の一部は「近代内モンゴル社会の変革と東アジア--中国、日本との関係から見る」(2008)、および「中華民国における熱河省の土地制度改革について-モンゴル・漢関係の変化-」(2009年)として公表されている。
|
Research Products
(4 results)