2010 Fiscal Year Annual Research Report
近・現代インドにおける工業化と生産要素取引制度の生成
Project/Area Number |
20730234
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
野村 親義 大阪市立大学, 大学院・文学研究科, 准教授 (80360212)
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Keywords | インド / 植民地 / 取引制度 / 生産要素 / 長期金融 / 労務管理 / 工業化 / 企業組織 |
Research Abstract |
本研究の最大の目的は、近代的製造業が必要とする質・量の生産要素・生産財の需給を調整する取引制度が、植民地期から計画経済期に至る20世紀前半のインドにおいてどのように生成したかを、当時の3大近代的製造業(ジュート紡績業、綿紡績業、鉄鋼業)を舞台に、企業レベルの史料に基づいて明らかにすることである。以下、平成22年度に行った史料収集作業と論文執筆作業について、報告する。 まず史料収集は、インドのデリー・カルカッタおよび、イギリスのロンドンで、本研究で扱う3大近代的製造業に大きな影響を与えた財政・金融政策に関する公文書を調査・収集した。また、これら公文書の調査・収集過程で、3大近代的製造業の動向を示す統計資料や2次文献も調査・収集した。 論文執筆作業に関しては、特に植民地期鉄鋼業の生産財の需給を調整する販売網に関する論文と、同じく鉄鋼業が必要とする労働力の需給を調整する労務管理制度および労働者の就業前の教育歴・職歴に関する論文を2本発表した。また、これら植民地期鉄鋼業が1930年代以降海外市場開拓を行う可能性を有しながら、その可能性の発揮に失敗した原因を分析する論文を1本発表した。これら3本の論文はすべて査読つき英語論文であり、うち2本は、国際的に極めて高い評価を受ける雑誌に掲載された。このほか、植民地期インドの企業統治に関する論文を一本投稿中であり、現在査読結果に基づき、修正中である。 平成22年度の史料収集と論文執筆は、国際的なインド経済史研究の進展に貢献する重要な活動であった。
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