2010 Fiscal Year Annual Research Report
地域ブランドを活用した地域企業のコア資源展開モデルに関する研究
Project/Area Number |
20730237
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
内田 純一 北海道大学, 観光学高等研究センター, 准教授 (40344527)
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Keywords | コア資源 / 地域ブランド / 地域企業 / 地域資源 / 資源展開 |
Research Abstract |
1.研究の内容 本課題においては、グローバルな環境において、地域資源を活用すべきかを分析することに集中した。日本企業だけではなく、韓国の企業が国際化する際に自らの経営資源と現地の地域資源をどのように組み合わせているかを分析し、地域資源が政治的な要素によっても価値づけられるプロセスを発見するなど国際的な研究にも踏み込んだ。また、業種は、科学技術イノベーションが大きく作用する業界から、観光業界まで幅広く選択したが、とりわけ観光サービス産業調査の過程で、日本などの先進国の観光サービス産業は、クラウドとして最近話題になっているIT技術によって大きなイノベーション可能性があること発見した。 以上の研究結果は、それぞれ領域別に学会発表を実施済みである。 (1)韓国下請け企業調査・フィールド調査を実施<平成20-21年度>21年度に学会発表を行い、22年度に査読論文受理 (2)観光サービス産業の実地調査とクラウド技術の影響力調査の実施<平成22年度>22年度に学会発表を実施 (3)観光まちづくりに関する地域ブランド力調査を実施<平成20-22年度>21年度および22年度にそれぞれ書籍として成果報告 (4)最終的なモデル分析と成果報告書の執筆<平成22年度>平成23年度中に書籍として成果公開を予定 2.研究の異議 資源基盤観点に立脚した戦略論研究が進展しているが、地域資源や地域ブランド等の活用を前提とした研究は少ない。しかし、地域企業の実務ではこうした変数を無視することができないどころが、自らの中核的経営能力(コア資源)を確立する大きな要因となっている。本研究は、こうした既存研究が扱わなかった地域資源や地域ブランドの問題に資源基盤観点を融合し、戦略論あるいは戦略プラニングの方法論を整理しつつあり、クラウド技術の有効性など、最新の情報技術の成果を取り入れたものになっている。産業の裾野も広く調査しており、汎用性の比較的高いコア資源展開モデルを開発提案している点に最大の研究意義があるだろう。 3.研究の重要性 研究代表者は既に過去の科研プロジェクトにより、コア資源展開モデルをネットワーク経営の文脈で活かす方法論を整理した。その上で今回の研究で提案する戦略的視点を組み合わせることにより、地域企業の実態に合った戦略プランを整理した点がユニークなだけではなく、政策担当者に向けて、地域資源活用のあるべき姿を提案したという点で、ミクロ的にもマクロ的にも応用可能性の高いものになった。ただし、汎用性を求め過ぎたために、個別産業にユニークな視点を犠牲にした面もある。今後はとくに、観光サービス業など、研究蓄積の少ない分野での研究貢献を目指し、研究を継続する予定である。
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