2009 Fiscal Year Annual Research Report
機能性化学産業における製品開発・企業戦略と競争優位
Project/Area Number |
20730240
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
桑嶋 健一 University of Tsukuba, 大学院・ビジネス科学研究科, 准教授 (50313086)
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Keywords | 機能性化学 / 製品開発 / 企業戦略 |
Research Abstract |
本研究の目的は日本が国際競争力を持つ「機能性化学品」に焦点をあて、日本企業が国際競争力をもつに至った歴史的経緯や競争優位の源泉について、企業戦略、製品開発マネジメントの視点から明らかにすることにある。その際、近年、経営学の分野で発展してきた「アーキテクチャ」の分析枠組みを用いて産業間比較の視点から考察することが特徴の1つである。本年度は、これまで行ってきた調査・分析の中間的な総括を行った(藤本・桑嶋,2009,桑嶋,2009)。具体的には、これまで筆者が調査してきた事例群から得られた事実発見を次の2点に整理した。事実発見1:プロセス産業のなかにも組立産業と同様の「きめ細かい製品開発マネジメント」が有効な領域がある。それは「要求機能・制約条件が厳しい」領域である。事実発見2:ただし、プロセス産業の製品は「一塊の物質」として開発・生産されるため「目標機能に適合した構造・工程創造が困難」という特徴があり、組立産業とは異なるマネジメントも要求される。具体的には、「継続的な用途開発」、プロジェクトの「go or no-goの判断」などである(桑嶋,2009)。 その上で、これら2つの事実発見を「要求機能・制約条件の厳しさ」「目標機能に適合した構造・工程創造の困難さ」という2軸で表現した製品開発分析の一般枠組みを構築した。従来、自動車産業など組立産業を中心に発展してきた製品開発研究に対して、(1)アーキテクチャ論で体系化された「インテグラル/モジュラー」軸を「要求機能・制約条件の厳しさ」(横軸)として一般化して再整理し、また、(2)従来ほとんど議論されてこなかった機能性化学産業を含むプロセス産業に関しては、「一塊の物質として開発・生産される」という特徴から導き出される組立産業との違いを「目標機能に適合した構造・工程創造の困難さ」(縦軸)として整理した(桑嶋,2009)。
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Research Products
(4 results)