2011 Fiscal Year Annual Research Report
医療機関経営における医療連携マネジメント(コミュニケーションと電子カルテに着目)
Project/Area Number |
20730242
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
冨田 健司 同志社大学, 商学部, 准教授 (40329149)
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Keywords | 医療経営 / 医療連携 / 医療の質 / コミュニケーション / 職務満足 |
Research Abstract |
これまでの医療機関経営、特に医療連携に関する先行研究をレビューすると、その多くが医師など医療従事者によるものであった。そこで本研究では、経営学・マーケティングの視点から研究を進め、H21年度は定量調査のための仮説設定、質問票の作成、プリテストを行い、H22年度は医療機関を対象とした質問票調査(定量調査)を行った。それを受け、H23年度は医療機関へのインタビュー調査(定性調査)を行った。 インタビューを行うとなると、医療連携に積極的な病院が対象となり易く、実際に医療連携に積極的な病院が見られた。とはいうものの、理事長や院長といった経営者層の戦略プランが、現場の医師に浸透しているとは必ずしも言えないことが明らかとなった。現場の医師にとって「医療の質」は診療の質であって、患者のQOLまでを考慮した医療の質、さらには患者にとっての便益の高い医療連携への意識が高いとは言えないことも明らかとなった。 また、日常の業務において医師は、連携先の医療機関とほとんどコミュニケーションを行っていないことがH22年度の質問票調査に加え、H23年度のインタビュー調査でも明らかとなった。多くの病院で専門の医療連携室を設けているが、それを設けていた方がきわめて効率的ではあるものの、そこに任せきりとなっている問題点も浮き彫りとなった。さらに、地方の中核的な医療機関では地域の開業医を集めた勉強会を開催していたが、コミュニケーションの浸透、さらには信頼構築といったところまでは言っていない。とはいうものの、開業医同士によるコミュニケーションの向上には一役買っていることが分かった。
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Research Products
(1 results)