2009 Fiscal Year Annual Research Report
作業空間のレイアウトと研究開発者のコミュニケーション・パターン,生産性との関係
Project/Area Number |
20730250
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
阿部 智和 Nagasaki University, 経済学部, 准教授 (20452857)
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Keywords | 経営学 / 経営組織論 / コミュニケーション / オフィス・レイアウト |
Research Abstract |
平成21年度は,オフィス空間の物理的特性がそこで働く者のコミュニケーション・パターンにどのような影響を及ぼすかということを実証的に取り組んできた先行研究の探索・整理を進めた.この作業は,我々が以前に実施した日本企業のホワイト・カラーを対象とした質問票調査の再設計を行ない,新たな調査を実施するための作業である.具体的には,欧米をはじめ,国内で取り組まれてきた同領域の先行研究の探索・整理を進めてきた.この作業を通じて,明らかになった点は以下に示す3点である. ・ 日本における計量的な実証研究は,欧米での先行研究と同種の関心・枠組みを有した研究が取り組まれつつあることが明らかになった.すなわち,(1)組織メンバー間の物理的距離がコミュニケーション・パターンに及ぼす影響と(2)オフィスの空間設計が組織メンバー間のコミュニケーション・パターンに及ぼす影響,の2つである. ・ 日本における計量的な実証研究では,欧米の研究では見られない新たな研究知見がいくつか生み出されている点も同時に明らかになった.より具体的には,(1)物理的距離を克服するためのコミュニケーション・メディアの活用の意義や(2)空間の開放性を高めることによって,設計者の意図に反したコミュニケーション・パターンの変化が発生すること,の2点である. ・ 今後追究すべき研究課題として,(1)オフィス空間の設計→コミュニケーション・パターンという変数間関係に影響を及ぼすモデレータ変数の探索と(2)オフィス空間の設計→コミュニケーション・パターン→生産性,という変数間関係のうち,コミュニケーション・パターンと生産性の関係について更なる考察が必要である,という2点を明らかにした. 本年度の研究により,日本国内での研究の到達点を明らかにし,今後の研究課題を提示することができたと考えられる.
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