2008 Fiscal Year Annual Research Report
株式公開後のベンチャー・新興企業の財務構造とガバナンス構造の変化に関する実証研究
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20730255
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Research Institution | Hokkai-Gakuen University |
Principal Investigator |
赤石 篤紀 Hokkai-Gakuen University, 経営学部, 准教授 (10364233)
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Keywords | 新規株式公開(IPO) / ベンチャー企業 / コーポレートガバナンス |
Research Abstract |
平成20年度は、新興市場上場企業約1,400社の目論見書および有価証券報告書から、経営指標、株主構成、ガバナンス構造に関する時系列のデータベースを作成した。そして、株式公開の意義についての論文を整理し、上場時点での株主構成や大株主の所在、各種の経営指標より、IPO時点(上場0年目の時点)における企業の財務状態などを数量データによって明らかにした。そして、IPOを通じた調達資本を設備投資や研究開発に充当するのではなく、借入金の返済を中心とした財務体質の強化を図る企業が存在することが明らかにした。このことは、IPOに至る企業の財務上のぜい弱性を部分的に示す。また、配当性向については17%という低い数値が示され、成長企業における内部留保の高さが実証的に裏付けられた。他方、株主構成に関わる分析からは、多くの新興市場上場企業において、15%以上の持株割合を有する支配株主が存在し、新興市場上場企業の多くが(1)代表取締役を中心とする「内部関係者統治型企業」と、(2)親会社を中心とする「会社支配型企業」に分類可能であった。前者の形態については成長企業の所有と経営の一致傾向を示し、後者の形態については子会社上場というわが国に特徴的な現象の所在を示す。平成21年度は、これらの発見事実を踏まえ、IPO後の企業成長の過程で、どのような経営上、財務上の変化がみられるのかを、時系列分析を通じて明らかにする。また、創業者利得の獲得や所有経営者のポートフォリオの高度分散化といったIPOに関わる問題についても、インタビューなどを通じて明らかにしていく。
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Research Products
(1 results)