2009 Fiscal Year Annual Research Report
株式公開後のベンチャー・新興企業の財務構造とガバナンス構造の変化に関する実証研究
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20730255
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Research Institution | Hokkai-Gakuen University |
Principal Investigator |
赤石 篤紀 Hokkai-Gakuen University, 経営学部, 准教授 (10364233)
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Keywords | 新規株式公開(IPO) / ベンチャー企業 / コーポレートガバナンス |
Research Abstract |
本研究の目的は、株式公開(IPO)を経て、企業の財務構造やガバナンス構造にどのような変化が見られるのかを、理論的、実証的に明らかにすることである。 本年度(平成21年度)は、IPOに関する理論的な検討を行い、同時に理論分析から導かれたいくつかの洞察を実証的に検証した。特に実証分析では、目論見書データが入手可能な2001年度以降の新規上場企業(約850社)を中心に、2008年度までの決算データを用いて分析を行っている。 これまでの先行研究では、1.創業者利得の獲得や流動性の向上を背景にした新興企業の所有と経営の分離現象、2.自己資本比率の向上、3.IPOを通じたVCの退出が指摘されている。しかしながら、わが国ではIPOを行う企業の約20%強が親会社を有する企業であるためか、全体でみた場合には、これらの指標について大きな変化はみられなかった。一方、親会社をもたない企業においても、ロックアップ条項の存在があってか、われわれが分析に用いたサンプルでは、所有構造の変化に大きな変化は見られなかったが、VCはIPOを境に退出していることが見出せる。これらの分析内容については、2010年度に論文として上梓する予定である。 また、本研究の開始時(2007年度)において、わが国企業のIPO数は減少に転じており、合わせて、金融危機も到来している。こうした厳冬期(cold market)の存在は、いわゆるIPOが盛んな熱い市場(hot market)との対比を可能にする。これらの経済事情の影響についても考慮に入れた分析を行い、今後の研究を進めていくこととする。
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Research Products
(1 results)