2010 Fiscal Year Annual Research Report
日系多国籍企業における知識共有・活用と人材マネジメントに関する研究
Project/Area Number |
20730260
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Research Institution | Chiba University of Commerce |
Principal Investigator |
山本 崇雄 千葉商科大学, 商経学部, 教授 (30318761)
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Keywords | 知識共有 / 知識活用 / 多国籍企業 / 海外子会社 / 人材マネジメント / 日本企業 / ミクロ組織論 |
Research Abstract |
3カ年計画の最終年度にあたる本年度は、過去2年間にわたり行ってきた文献レビュー、および日系多国籍企業7社の本社ならびに海外子会社へのインタビューを整理する作業に注力した。日系多国籍企業における国境を越えた知識共有・活用のマネジメントについて、ミクロ組織論的な視角から文献レビューを実施してきたが、それらについて取り纏める作業を実施した。 またこれらの成果の一部として、IFSAM(パリ)において海外学会報告を行った。同報告では、多国籍企業における「コラボレーティブ・イノベーション(collaborative innovation)」とそれに必要な人的資源管理・開発について論じた。具体的には、未知のナレッジを探索するタイプの人材開発と、獲得した知識を多国籍企業内部に取り込む「バウンダリー・スパナー(boundary spanner)型の人材開発という、異なるタイプの人材開発の双方が求められることを論じた。IFSAMにおいては、内外の研究者から研究発展に有意義なコメントを得ることができた。なお、この研究調査の内容については、大学紀要に論文として投稿を行っている。 そして、必要に応じて継続的なインタビュー調査を実施した。シンガポールにおけるインタビュー調査からは、タイ、インド、中東地域などにおける中間層の拡大に伴い、新たな地域本社観や海外人材観がますます必要とされてきていることが明らかとなった。すなわち、海外子会社間での人材交流や地域単位での人的資源配置がますます進展してきており、それに呼応する形で、人的資源に関わる制度構築が求められてきているという点である。こうした一部の日本企業の先駆的事例は、グローバル化が必要な日本企業にとって示唆に富むケースとなると考えられる。これら研究成果の未発表部分については、学術雑誌、学会等で今後も発表を継続することを予定している。
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Research Products
(2 results)