2009 Fiscal Year Annual Research Report
革新を導くプロデューサーシップに関する研究-コンテンツ制作と製品開発を対象に
Project/Area Number |
20730261
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
山下 勝 Aoyama Gakuin University, 経営学部, 准教授 (80348458)
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Keywords | 経営学 |
Research Abstract |
平成21年度の研究は、前年度の成果報告と並行して行われた。まず、コンテンツ開発(日本の映画産業を対象に)においてプロデューサーシップが観察される場として、特に企画が進められる製作委員会をこれまで見てきたが、どのような組みあわせがプロデューサーシップを発揮しやすい、すなわち成果の出やすい環境なのかについての定量的な分析とその考察について、学会で報告を行った。またコンテンツ開発の現場におけるプロデューサーらとそのネットワーク活動についての定量分析の結果については米国の学術誌に掲載することができた。 平成21年度に新たに行われた調査は、コンテンツ開発から離れ、より一般的な企業でのものである。具体的には、某0A機器メーカーと某マスコミ企業の若年就業者に対して就業意識についての面接調査を行った。前者の企業を主たる調査対象として計18名、後者の企業は比較対象として計4名に面接が行われた。 多くの若年就業者が、離職の意思があると回答したが、そのほぼすべては社内に、とくに上司や先輩格社員との非公式な人的ネットワークを構築できておらず、逆に、自身の現状を客観的に把握し、より現実的なプランを有する者はタテの人的ネットワークがしっかりと機能していた。ここからわかるのは、社内において創造的に活動できる(プロデューサーシップを発揮できる)者には、実際に何をするのかという以前に、大きな社会関係資本を有しているという点である。これは映画産業でのこれまでの研究結果とも符合するものであった。 平成21年度の研究計画における反省点は、一般的な製品開発の調査研究があまり進まなかったことである。これについては、現在、計画の見直しをしているところである。また、上記の若年就業者の人的ネットワークについての考察については引き続き進めていく予定である。
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