2009 Fiscal Year Annual Research Report
オンライン証券業界におけるイノベーションの実証分析:成功要因に関する経時的分析
Project/Area Number |
20730263
|
Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
高井 文子 Tokyo University of Science, 経営学部, 准教授 (10408693)
|
Keywords | 経営学 / 経営戦略論 / 経営組織論 / イノベーション / 証券業界 |
Research Abstract |
最終年度となる平成21年度は「日本のオンライン証券業界における成功要因が形成される背景を探索する」作業にあてた。 平成21年度の成果をまとめると、以下の通りである。 オンラインビジネスにおいても重要であることが明らかになっている、企業の商品・価格戦略の重要性の認識が、企業によって異なっていたことが明らかになった。特に、20年度において明らかになった「比較的早く参入していたとしても、コア顧客をつなぎ止める上で有効な施策を打っていない企業は撤退するリスクが高い」という事実に、いかに気づくかということが企業によって異なっていた。こうした要因については、高井(2006)において明らかにされた、「この時期のオンライン証券業界においては『顧客が爆発的に増える』といった支配的通念という「軸」にとらわれて大多数の企業が競争を続けてしまったことによって、コア顧客に本当に評価される施策の導入が遅れてしまったという現象」と関係が深いということもサポートされた。これらの発見により、オンライン証券業界という比較的模倣が容易なサービス財の市場において、市場成長のフェーズごとの競争の様相や成功要因がどのように変化していくのか、それはなぜなのか、企業はいかに行動すべきなのか、といった諸点を明らかにし、同時にそうした諸点を統合した動的な戦略のフレームワークとして提示するという、申請者の研究目的を、完全ではないまでも、達せられたと考える。また、実務的にも、示唆を与えられたと言えよう。なお、これらの成果は、高井(2010)として報告される予定である。
|