2008 Fiscal Year Annual Research Report
取締役会機能と環境適応-動態的コーポレート・ガバナンスの確立へ向けて-
Project/Area Number |
20730264
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
西 剛広 Meiji University, 研究・知財戦略機構, ポスト・ドクター (10409427)
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Keywords | 経営学 / 環境変動 / 認知科学 |
Research Abstract |
2008年度の当該研究の目的は、企業の環境適応を促すコーポレート・ガバナンスのあり方を探るため、取締役会機能とその機能に影響を与える環境条件との関係性について考察・検討することである。とりわけ、企業がただ環境に対して順応するのではなく、環境へ自己組織化するべく、企業が特殊能力を蓄積し、そうした能力をもとに積極的に環境に働きかけるコーポレート・ガバナンスのあり方に注目をした。 まず、企業が特殊資産や能力を形成する上で取締役会が果たす役割について考察するためにチーム生産理論を援用することとした。チーム生産理論では、取締役会は、企業特殊資産形成の観点から様々なステーク・ホルダーの利害を調整する第三者=調停者として位置付けている。すなわち、取締役会機能を規定する重要な環境条件としてチーム構成員による企業特殊資産形成への生産要素が大きく影響を及ぼすことになる。こうした生産要素の視点からコーポレート・ガバナンスに影響を与える環境条件を特定・整理することができた。とりわけ、内部環境条件として、製品アーキテクチャーにおけるモジュール化あるいは、インテグラル化の程度や製品(資産)特殊性、雇用形態ならびに、外部環境条件として、労働市場の流動性、企業のタイプと資金調達形態、株式持合関係、企業間の競争度合いなどの要因を捉えることが可能となった。 また、当該研究の一環として「取締役会機能と環境適応」の課題に長年取り組んでいる豪州クイーンズランド工科大学経営学部Gavin Nicholson上級講師との共同研究を行うこととなった。とくに、Nicholson講師がリーダーを務める"Developing Your Board"プロジェクトを紹介して頂くことにより、取締役会行動を実証的に研究するための方法的示唆を得ることができた。 上記のように、2008年度当該研究において、取締役会機能が様々な環境条件との闇で相互に作用しているだけではなく、取締役会が企業の特殊能力や資産蓄積に大きな役割を果たすことをモデルとして提示することができるなど研究が大きく進展することとなった2009年度は、こうした構築した取締役会機能と環境条件に対するモテルの実証・検証を行う予定である。
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