2009 Fiscal Year Annual Research Report
派遣労働者等の非正規労働者のキャリアと人的資源管理
Project/Area Number |
20730266
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Research Institution | Yamanashi Gakuin University |
Principal Investigator |
島貫 智行 Yamanashi Gakuin University, 現代ビジネス学部, 講師 (40454251)
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Keywords | 経営学 / 人的資源管理 / 非正規雇用 |
Research Abstract |
本年度は、昨年度実施した派遣労働者への聞き取り調査の結果を踏まえて、主に、派遣先企業と派遣会社の社員に対する聞き取り調査を実施した。派遣労働者が直面する派遣労働という働き方の難しさの背後にあるメカニズムを探索的に検討するための調査である。調査結果によれば、派遣先と派遣会社はいずれも派遣労働者に対して短期的な活用を想定するために、正社員のように、仕事を高度化し、スキルを向上させ、賃金を上昇させるインセンティブを持たない。それゆえに、派遣労働者は、仕事の高度化を通じてスキルを向上させたり、賃金を上昇させることが困難になる。だが、派遣先と派遣会社は全ての派遣労働者に対して短期活用を想定しているのではなく、仕事遂行能力や就労意欲の高い労働者と見極めた派遣労働者には長期的な活用へと方針転換を図る。従って、派遣労働者にとっては、こうした派遣先と派遣会社との長期的関係を構築する機会を得られた場合には、仕事の高度化やスキルの向上、賃金の上昇を図ることも可能になる。短期的な就業形態と捉えがちな派遣労働という働き方について、キャリアというより長期的な視点から問題を検討する必要性が示唆され、次年度以降の研究課題として引き継がれる。 また、本年度は、上記の聞き取り調査と並行して、派遣先の正社員を対象とした質問票調査を実施した。派遣労働者をはじめとする非正社員が職場で増加することが、派遣先の正社員にいかなる影響を与えるかについての検討である。本年度は調査設計とデータ収集が行なわれ、次年度以降分析が実施される予定である。
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