2011 Fiscal Year Annual Research Report
派遣労働者等の非正規労働者のキャリアと人的資源管理
Project/Area Number |
20730266
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
島貫 智行 一橋大学, 大学院・商学研究科, 准教授 (40454251)
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Keywords | 経営学 / 人的資源管理 / 非正規雇用 |
Research Abstract |
平成23年度は、主に派遣労働者のキャリア形成についてのデータ分析と、これまでの調査結果や研究成果を追試するための質問票調査の二つを実施した。 派遣労働者のキャリア形成に関する分析としては、一つには、派遣労働者の仕事難易度や賃金、スキルの変化について、派遣先や派遣会社の就労パターンに注目して分析を行った。先行研究では同じ派遣先に継続就労することが仕事の高度化やスキルの向上に結び付くという指摘がなされていたが、こうした派遣先の継続就労の効果に加えて同じ派遣会社で継続就労する効果を組み込んで検討した。具体的には、同じ派遣先や派遣会社で継続就労する派遣労働者は、異なる派遣先や派遣会社を移動する派遣労働者と比べて、仕事難易度やスキル、賃金が上昇するという仮説を提示した上で、派遣労働者に対する質問票調査のデータを用いて仮説を検証した。もう一つは、派遣労働者の職種経験に注目したキャリアパターンの分析である。派遣就労という就業形態に関する先行研究の議論を踏まえて、派遣就労がスキルを発揮する働き方かそれともスキルを蓄積できる働き方であるかについて、派遣就労前と派遣就労開始後の職種経験に注目して検討した。派遣労働者に対する質問票調査のデータを分析した結果、派遣労働者の主要な職種経験パターンとして、派遣就労前に経験した職種に派遣就労後も従事するパターンと、派遣就労前に経験していない職種に派遣就労後に従事するパターンの双方が観察され、現在の派遣労働者にとって派遣就労がスキルを発揮する働き方だけでなくスキルを蓄積する働き方にもなっている可能性が示された。 上記の分析結果を含めて、派遣労働者の仕事内容や労働条件、派遣先や派遣会社による雇用管理、派遣労働者の仕事のモチベーションや組織へのコミットメント等について、これまでの自身の研究成果を追試するための質問票調査を設計しデータ収集を行った。
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Research Products
(1 results)