2010 Fiscal Year Annual Research Report
企業情報システムの成熟度と保守作業に関する実証研究
Project/Area Number |
20730271
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
横田 明紀 立命館大学, 経営学部, 准教授 (30442015)
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Keywords | 保守 / 運用 / カスタムビルド / 業務システム / 実態調査 / メインテンス |
Research Abstract |
過去2年の統合基幹業務パッケージシステム(ERP)の保守に関する調査と考察を踏まえ,本年度は更なる保守分析の展開と拡張を目的に,カスタムビルドの大規模業務システムでの保守の実態調査を実施した。その結果,次の2点が明らかとなった。 第1に数件の保守作業が総工数の大部分を占めていることである。調査対象とした大規模業務システムで発生した保守を分類した結果,機能の追加や拡張を目的した総件数の10%程度の保守作業が総工数の70%以上を占めていた。他方,既存機能に対する性能の保持または向上,およびユーザからの問合せや要求への対応に関する保守作業の件数は総件数の75%以上を占めているのに対し,それらの工数の割合は20%未満であった。 第2に単発的もしくは反復的に生じる保守作業が存在することである。規模の大きい保守作業は複数種類の目的において非定型的で単発的な作業として発生する傾向が強い一方で,規模の小さい保守作業は少数の類似した目的において定型的で反復的な作業として発生する傾向が強い。 定型的で反復的な作業として発生する傾向が強い規模の小さい保守作業には事前にシステムの機能として組み込むことで,追加的な保守の発生を抑制し,費用の削減が見込める作業も多く混在しているように推察された。しかしながら,多くの企業で保守に関する記録が積極的に検証されることは希である。したがって,多くの企業で保守が場当たり的で継ぎ接ぎ的な作業として実施される傾向が強い1つの要因として,本研究では情報システムの特性や保守の全体像が十部に把握されていないことを指摘している。
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Research Products
(2 results)