Research Abstract |
平成21年度の研究成果として,日本のCRE(企業不動産,Corporate Real Estate)マネジメントの特徴について,国際学会にて報告を行った(Pacific Rim Real Estate Sciety,2010年1月24~27日,ニュージーランド・ウェリントン,報告タイトル「Corporate Real Estate Manageme inJapanj)。報告内容は,法人土地統計調査に代表されるCREに関する統計調査の紹介,CREマネジメントガイドライン,特にCREマネジメントサイクルの説明,日産自動車や日本郵政によるCRE戦略の事例について述べた後,日本のCREマネジメントはアセットマネジメント,プロパティマネジメント,ファシリティマネジメントの3つの分野に分かれ,それらが体系的にまとまっていないことが課題となっている。それゆえ,3つの分野を統合するような理論的フレームワークの構築が必要となると結論づけた(報告原稿は,Pacifc Rim Real Estate Societyのホームページ[http://www.prres.net/index.htm? http://www.prres.net/ Conference/2010conference,htm]に掲載されている)。日本でCREマネジメントという言葉が普及し,数年が経過するが,欧米の手法が紹介されることがあっても,日本の動向が海外に発信されることは全くなかった。今回,日本のCREマネジメントの実態を国際学会で報告できたことは,日本のCRE研究くわえて不動産研究にも大きな貢献ができたと考えている。 国際学会での報告以外でも,日本不動産学会誌に「日本におけるPREマネジメントの現状と課題」という論文を発表した。PREとは,政府,または地方公共団体が所有,または利絹している不動産(Publihc Real Estae)を意味し,その面積と価値はCREに匹敵する規模である。欧米では, CREとPREについてはあまり厳密な区別をせず, CREの中にPREが内包されていることが一般的である。論文では,英国の最新事例を紹介しながら,日本のPEマネジメントの現状と課題について述べている。特に日本のPREマネジメントは地方公共団体を対象とし,政府についてはあまり注目されていないこと,また日本のPREマネジメントには長期目標,または計画が存在していないことを指摘している。
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