2009 Fiscal Year Annual Research Report
製品開発マネジメントにおけるデザイン部門の役割に関する研究
Project/Area Number |
20730277
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Research Institution | National Institute of Science and Technology Policy |
Principal Investigator |
長谷川 光一 National Institute of Science and Technology Policy, 第2研究グループ, 研究員 (30426655)
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Keywords | 研究開発マネジメント / デザインマネジメント |
Research Abstract |
製品開発力がイノベーションの重要な源泉であり、より効果的な製品開発を行うためには優れた技術力が欠かせないことはよく知られている。しかし、近年は優れた技術力を有しているにも関わらず競争優位を構築できない事例や十分な利益を確保できない等の事例が見受けられる。その一方で、製品やサービスのデザイン的側面に注力することで競争優位を構築する企業や製品の事例が現れつつある。本研究は、製品開発マネジメントにおけるデザイン的側面に注目し、デザイン的要素が製品開発にどのような役割を果たすかを実証的に明らかにすることを目的とした。 調査手法として、質問票調査によるデータ取得、事例調査の双方を併用した。 質問票調査は資本金1億円以上で研究開発を実施している企業3473社を対象として実施した。回収数は1154であり、回収率は33.7%である。 質問項目は、デザイン活動実施の有無、デザイン投資規模、デザイン担当組織の概要等である。 調査結果によれば、回答企業の7割がなんらかのデザイン活動を実施していることが明らかとなった。「製品等の概観に関する意匠」は6割の企業が、「製品等とその外部とのインターフェースに関する構想」では4割の企業が活動を実施している。製品を構成する技術とデザインの間の関係について尋ねた(N=613)ところ、トレードオフが存在すると回答した企業は、3割であり、このうち9割の企業がデザインよりも技術的性能を優先すると回答した。しかし、デザインを優先する企業の方が、プロダクトイノベーションを実現した割合が高かった。この事は、日本企業はデザイン活動を戦略的に活用することで、プロダクトイノベーションを生み出す可能性を示唆している。
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