2010 Fiscal Year Annual Research Report
消費者の複数の関連購買意思決定過程におけるブランド知識の役割に関する実証研究
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20730283
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
坂下 玄哲 慶應義塾大学, 大学院・経営管理研究科, 准教授 (00384157)
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Keywords | 消費者行動 / 購買意思決定過程 / 拡張自己 / 意思決定の状況要因 / 成分ブランド |
Research Abstract |
本研究の目的は、消費者が関連購買において複数ブランドを同時に考慮する際の購買意思決定プロセスについて、特に消費者のブランド知識がいかなる役割を演じるかについて、理論的、かつ経験的に考察を加えることであった。初年度~2年度における研究活動から、複数ブランドが関連しつつ購買される状況においては、特に消費者の自己概念との関わりが強いことが明らかとなった。同時に、購買意思決定時点における同伴者の役割、とりわけ、意思決定主体と同伴者との関係性がキーとなることがわかった。以上から、最終年度は大きく3つの作業を行った。 (1)2年度に行われた実験データの更なる解釈を行った。収集された定性データをより多面的に理解するために、発話データだけでなく映像データも合わせて解釈することを試みた。これにより、状況に応じて創出される自己像や同伴者からのコントロール、対象ブランドを構成する成分ブランドなどが演じる役割の重要性が認識された。 (2)上記(1)の発見物を受けて、更なる既存研究のレビューを行った。具体的には、関連購買や知覚適合、ブランド連想およびブランド拡張、拡張自己や対人影響といったこれまでのレビューをさらに深める一方で、状況的自己や関係性、成分ブランドに関する概念枠組についても詳細なレビューを行った。これにより、関連購買における影響要因に関して、特に状況依存性という観点からの精緻化を行った。 (3)日本における関係性の特殊性を理解するために、異なる文化的文脈における商業集積での消費行動について観察調査/経験調査を行った。これにより、企業側が消費者に対して行う様々なアプローチが、文化的な影響を大きく受けていることがわかった。 以上の研究活動を総括する形で、様々な場において成果を公表した。具体的には、2年度に引き続き国際学会などで報告を行うと共に、学術雑誌において成果を出版した。
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