2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20730288
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Research Institution | University of Marketing and Distribution Sciences |
Principal Investigator |
頭師 暢秀 流通科学大学, サービス産業学部, 講師 (30461130)
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Keywords | 消費者行動 / 時間 / 意思決定 / フレーミング効果 / 反射効果 / プロスペクト理論 |
Research Abstract |
今年度の研究では、個人の意思決定に関する文献レビューを通じ、意思決定に与える影響要因を検討した。人々は、複数の選択肢のなかから取捨選択しようとするとき、選好に基づいて行動する。選好とは、意思決定者が抱く選択対象に対する態度に基づいて行われる取捨選択から生じる順位付けであり、知識として意思決定者の記憶に残り、以後の意思決定行動に影響を与える要素である。意思決定者が、ある選択肢の属性に関する新しい情報を入手したとき、その選好に変化が生ずる。つまり、選択肢が持つ属性に関する信念は、入手し得る情報によって影響を受け、新たな信念を形成する。このとき、選択肢の持つ属性によって意思決定者の評価をつかさどる思考のフレームが形成され、その属性の集合が意思決定に影響する。ここで、記憶や信念が影響する意思決定行動は、長期的な生活環境がその結果を左右していると推察されるため、異なる文化に属する消費者は、意思決定の行動に差異を示す可能性が示唆される。ビジネスの国際化が進行する現代において、異文化間の時間感覚の影響は無視でない。時間に関する意思決定に関する一般的な欧米の先行研究では、プロスペクト理論が予測する反射効果の再現性が認められていないが、利得、損失領域にかかわらず、概ねリスク回避傾向を示している。時間制約が想起される場面においては、強い反射効果が認められている。米国では反射効果が否定されている実験を日本で追試したところ、米国の被験者では有意差が認められなかった弱い傾向は、日本の被験者では有意な傾向を示した。すなわち、日本人は、利得の場面であっても損失の場面であってもリスクの伴う選択肢を極端に避ける傾向が明らかになった。同時に行った計量テキスト分析の結果は、選択肢の確実さが意思決定に強く影響していることを示唆している。この結果は、日本人の不確実性回避傾向を裏付けるものといえる。
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Research Products
(2 results)