2009 Fiscal Year Annual Research Report
エコ・マーケティングにおけるエコ理解の生成・変容メカニズムに関する歴史的研究
Project/Area Number |
20730290
|
Research Institution | Nakamura Gakuen College |
Principal Investigator |
明神 実枝 Nakamura Gakuen College, 流通科学部, 講師 (60461480)
|
Keywords | エコ・マーケティング理解 / 環境法 / 企業の社会責任 / グリーン・コンシューマー |
Research Abstract |
本研究は、企業のマーケティングによる環境問題の対応に関する理解(以下、エコ・マーケティング理解)に焦点を当て、エコ・マーケティング理解におけるエコ理解の前提に迫る歴史的研究を通して、エコ理解の生成・変容メカニズムを明らかにすることが目的である。 二年目となる本年度においては、主にエコ・マーケティングにおけるエコ理解の前提に迫る方法論的視座の検討に焦点が当てられた。1970年代以降、研究者や実務家によってさまざまに定式化され語られてきているエコ・マーケティング理解には、グリーン・コンシューマーの想定の仕方によって異なるアプローチが見られることをどのように捉えるべきか。この問題に迫るため、マーケティング研究本流の方法論研究における「市場像」概念に手がかりを求めて検討した。 結果、エコ・マーケティング理解における限界は、「市場像」の想定に関わると考えられた。エコ・マーケティング理解の代表論者であるBelz(2001)によれば、エコ・マーケティング理解がニッチ現象に留まったのは、従来理解が想定したグリーン・コンシューマー像がエコ意識の高い消費者像であり、実像とは異なったためである。そう主張してBelz(2001)は、消費者はエコ意識を含むコスト・ベネフィット評価を行なうという消費者の実像を示した。この指摘は最もではあるが、「市場像」の想定の限界を指摘しつつも、Belz(2001)が示した消費者の実像も、ひとつの市場像を想定したことには変わりがなく、その点で限界があることが浮き彫りにされた。 こうしてマーケティング研究における議論を参考にすることで、エコ・マーケティング理解の課題が「市場像」を前提とした新しいマーケティング体系の構築にあるのではなく、グリーン・コンシューマーという「市場像」の生成・変容過程そのものに焦点を当てることにあることが示された。
|
Research Products
(3 results)