2009 Fiscal Year Annual Research Report
会計処理方法の変更からみる会計実務の規則性に関する実証研究
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20730292
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
榎本 正博 Tohoku University, 大学院・経済学研究科, 准教授 (70313921)
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Keywords | 会計学 / 会計方針の変更 / 利益マネジメント / 自発的変更 / 強制的変更 |
Research Abstract |
・本年度は会計方針の変更と利益との関係を分析した。先行研究では,会計方針の変更と利益の間には,利益平準化の傾向が示されているが,近年は類似の検証が行われていないため再検討を行った。先行研究と決定定期に異なるのは,大量データを用いている点と,先行研究での知見を活用しコントロール変数として,規模,監査人,財務的困窮度,経営者交代,負債比率を導入し,回帰分析を行っている点である。その結果上記のコントロールがなされたもとでも,利益平準化が再検証された。同時に経営者交代との関係については,経営者交代がなされかつ利益が低い水準では,利益を減少させるような会計方針の変更が行われていた。つまり,経営者交代に関するビッグ・バス仮説があてはまっていた。このほか以下の分析がなされている。 ・各年,各変更別に詳細な分析を行った。自発的変更を行った企業とそうでない企業の比較,利益増加的な変更を行った企業とそうでない企業の比較を実施した。 ・営業利益が増加するように計上区分の変更がなされていることを示す証拠を得た。これにより分類的操作とよばれる,損益計算書の区分操作が示された。 ・監査人(監査法人)別に会計方針の変更の統計処理を行った。監査人によっては,他の監査人より会計方針の変更を多く報告していた。 ・退職給付会計基準の設定と会計方針の変更について検討した。 ・上記の結果は,神戸大学で行われた研究セミナーで報告しており,そこで行われた議論を基礎に現在ディスカッション・ペーパーを作成中である。
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