2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20730295
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
野間 幹晴 Hitotsubashi University, 大学院・国際企業戦略研究科, 准教授 (80347286)
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Keywords | 保守主義会計 / 社外役員 / 企業価値 / 研究開発費 / アナリスト |
Research Abstract |
平成20年度には、(1) 保守主義会計、(2) 社外役員と企業価値、(3) アナリストと研究開発投資、という3つについて研究を行い、論文を公表した。 まず、保守主義会計(「保守主義の実証研究-経済的合理性を中心に」)では、保守主義の定量化と経済的合理性という2つの論点を議論の俎上にあげた実証研究に的を絞り、保守主義をめぐる実証研究を俯瞰した。そのうえで、会計基準設定に対するインプリケーションについて議論を行った。 次に、社外役員と企業価値(「社外役員の独立性と企業価値・業績」)については、2006年5月より公表されるようになったコーポレート・ガバナンス報告書で開示された情報を用い、社外役員の独立性と企業価値・業績に関する実証分析を行った。分析の結果、次の2点が明らかになった。1つは、社外取締役は親会社など特定の利害関係者ではない独立性のある者のみが、高い企業価値をもたらすことである。いま1つは、企業業績には独立性はなくとも事業理解度の高い社外監査役が正の影響を与えることである。 最後に、アナリストが利益調整に与える影響(「アナリスト・カバレッジと利益調整」)については2つの仮説を設定し、実証研究を行った。1つは利益調整抑止仮説であり、いま1つは増益型利益調整支援仮説である。実証分析から、いずれの仮説も支持されず、減益型利益調整支援仮説という新たな仮説が導かれた。すなわち、アナリストが多い企業ほど、異常会計発生高が小さいのである。こうした結果について、本研究ではアナリストは保守的な会計処理方法を選好するという解釈を提示した。
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Research Products
(5 results)