2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20730296
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
大雄 智 Yokohama National University, 経営学部, 准教授 (40334619)
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Keywords | 事業再編 / 企業結合 / 会計基準 / 利益測定 / 支配 / 持分 / のれん / 連結基礎概念 |
Research Abstract |
平成21年度は、事業再編会計に関する過去10年間の研究成果を1冊の著書にまとめた。前年度までは、事業再編取引の実質を支配の継続性と持分の継続性という2つの観点から判断し、それぞれに対応する会計方法を明らかにしてきたが、当年度は、それぞれの観点を一般的な利益測定フレームワークにむすびつけた。持分の継続性という観点には、株主からのキャッシュ・フローを利益測定の原点とする考え方が反映されており、支配の継続性という観点には、顧客からのキャッシュ・フローを利益測定の原点とする考え方が反映されているといえる。前者では、株主資本の投下と回収にもとづく利益測定が志向され、持分の清算が利益認識の条件である。それに対して、後者では、企業資産の増加と減少にもとづく利益測定が志向され、支配の喪失が利益認識の条件である。このように、支配と持分という2つの概念を核として事業再編会計を体系づけるとともに、それを一般的な利益測定フレームワークに昇華させたことが当年度の成果である。 また、当年度は、全部のれん法の根拠とされる経済的単一体説の意義も検討した。従来、全部のれん法を適用するか購入のれん法を適用するかという問題は、連結基礎概念として経済的単一体説を採用するか親会社説を採用するかという問題として議論されてきた。それに対して、本研究では、それを利益測定フレームワークの問題、すなわち、利益測定の原点を顧客から事業体へのキャッシュ・フローとするか、それとも、株主から事業体へのキャッシュ・フローとするかという問題として議論した。こうした利益測定フレームワークの類型に応じて経済的単一体説にも複数の類型があり、のれんの会計方法もそれに依存するというのが本研究の結論である。
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Research Products
(3 results)