広域自治体病院BSCの構築とBSCマネジメントに関する研究

2009 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 20730297
• Research Institution: Niigata University
• Principal Investigator: 山口 直也 Niigata University, 人文社会・教育科学系, 准教授 (50303110)
• Keywords: 広域自治体病院 / BSC (Balanced Scorecard) / 戦略マップ / 戦略マネジメント・システム / KPI (Key Performance Indicator)

Research Abstract

本年度は,まず,新潟県立病院で病院BSCに携わっている職員に対して,平成20年度以降における病院BSCの取組みの現状や問題点について聞き取り調査を行った。その結果,病院によっては,トップによる十分な支持が得られず,形骸化が進んでいる状況も見受けられた。このような状況を踏まえ,平成20年度に日本管理会計学会で研究報告した内容(「広域自治体病院におけるBSCの導入-新潟県立病院のケース-」)について,平成20年度に行った三重県病院事業庁への聞き取り調査から把握した広域自治体病院が直面している経営環境の変化や,平成20年度以後の新潟県立病院における取組みの現状についての聞き取り調査や問題点についての検討を踏まえ,論文に取りまとめた。本論文では,新潟県立病院は全員参加による戦略管理を促進する戦略マネジメント・システムとして病院BSCを位置付け,15病院全てでその導入を進めていったが,平成20年度以降,各病院にその運用が委ねられるようになると,院長をはじめとする病院幹部のコミットメントによって,病院ごとの取組みに濃淡が現われていることを明らかにした。本論文は,現在投稿申請中であり,平成22年度中に公表する予定である。
また,他の広域自治体病院をはじめ,国内の医療機関におけるBSCの新たな動向について,文献レビューを通じて整理してきた。さらに,平成20年度から行っている,カナダ・オンタリオ州における州ヘルスケア・システム横断的なBSCの特徴について,更なる調査研究を行い,我が国における広域自治体病院BSCの特徴と広域自治体ヘルスケア・システムにおけるBSCの特徴について比較考察を行ってきた。