2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20730298
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
篠田 朝也 北海道大学, 大学院・経済学研究科, 准教授 (50378428)
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Keywords | 会計学 / 管理会計 / 投資意思決定 / 資本予算 |
Research Abstract |
本研究は,わが国における投資意思決定会計上の理論と実務のギャップについて明らかにするとともに,それらの検討を踏まえたうえで,管理会計における投資意思決定会計(資本予算)の機能と位置づけを整理しようとするものである。 本年度は,本研究課題の最終年度であった。すでに実施していた「わが国の上場企業の投資意思決定に関する実態調査」と題した東証上場企業を対象とする質問票調査のデータを整理し,わが国の実務の概要について検討した内容を論文にまとめて公表した(「日本企業における資本予算実務:上場企業を対象とした調査データの報告」『経済学研究』)。この論文では,いくつかの興味深い事実を指摘した。例えば,資本コストの計算方法としてWACCがよく利用されているが詳細な計算手続きは不明であること,投資の事後監査は40%程度の企業で未実施であり,資本予算の事後チェック機能は十分に定着していないこと,事業立案担当者と事業評価者との間で投資評価プロセスにおいて対立が生じることがあること,支出よりも収入の予測のほうが楽観的になりがちなこと,などである。各論点については,フィールドスタディなどを通じて,今後,より一層の考察が求められるものとなる。なお,経済評価技法の変化については,その要因を探るべく踏み込んだ検討を行った成果を日本管理会計学会全国大会にて報告した。その他の論点に関するより詳細な分析は,残された課題として継続的に研究に取り組んでいく。 また,近年,より広範な定性的・定量的なリスク情報の開示が制度化されている。特に,DCF法を利用した公正価値測定が制度上認められるようになっても,企業が内部管理上,自発的にはDCF法をあまり利用していないというギャップの存在について指摘している論考も公表した(「リスク情報の開示」『体系現代会計学:財務報告のフロンティア』)。
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Research Products
(4 results)