2008 Fiscal Year Annual Research Report
保険負債の公正価値評価がもたらす企業行動の変化とその経済的影響
Project/Area Number |
20730303
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
上野 雄史 University of Shizuoka, 経営情報学部, 助教 (40405147)
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Keywords | 保険負債 / 公正価値 / 企業行動 |
Research Abstract |
平成20年度では、保険会計の先行研究をまとめ理論的な背景を明らかにした。また海外のセミナーに参加し情報収集を行った。 (1) 保険会計の研究サーベイ わが国の保険会計は証券取引法・会社法・監督法会計が一体で、責任準備金に関しては監督法会計で定められ、他の2制度はそれを受け入れている。英米では監督法会計と投資家への情報提供を目的とするGAAP会計とが並立しているなど、保険に関する会計のあり方は各国で様々である。監督法会計、GAAP会計の下で開示された会計情報を用い、企業行動や格付け・株価との関係を検証した論文として古くはHarmelink(1973)や、最近ではGaver and Pottier (2005)などがある。こうした論文をサーベイし、分析手法を検討した。 (2) 会計基準に関する検討 2007年5月にIASBは保険契約のディスカッション・ペーパーを公表した。この資料を用い、本基準の理論的、技術的な点を考察し、その特徴を明示した。保険負債の評価方法、財務諸表への計上方法を重点的に検討している。会計基準の検討状況についてはIASBのホームページ(http://www.iasb.co.uk/)等でも情報を入手できるが、その理論的・技術的な背景をより詳細に調査するためにイギリスで開催されたIFRS(国際財務報告基準)のワークショップに参加した。また途中経過の報告として、日本会計研究学会で学会報告を行った(立教大学で開催)。また今回の成果は、「保険学雑誌」第609号に掲載される予定である。
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