2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20730305
|
Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
石川 博行 Osaka City University, 大学院・経営学研究科, 准教授 (60326246)
|
Keywords | 配当政策 / 資本市場ベースの会計研究 / オールソン・モデル / 配当のライフサイクル仮説 / 成熟仮説 / コラボレーション効果 / シグナリング仮説 / フリーキャッシュフロー仮説 |
Research Abstract |
投資機会が豊富な成長企業は、将来の成長投資のために、株主還元よりも内部留保を優先すべきである。逆に成熟企業は、フリーキャッシュフロー問題を緩和させるためにも、余剰資金を株主還元することが望ましい。この考えは「配当のライフサイクル仮説」としてよく知られている。平成20年度は、市場が配当のライフサイクル仮説の予想と整合的な評価を配当変化に対して行っているかどうかを検証した。分析の結果、(1)成熟企業の減配が追加的なマイナス評価を受けている一方で、成長企業の減配はそれほど大きなマイナス評価を受けていない、(2)成熟企業の増配が割り引いて評価されている一方で、成長企業の増配が追加的なプラスの評価を受けているという証拠を得た。 (1)の結果は、ライフサイクル仮説の予想と整合的であるが、(2)は説明できない。しかしながらコラボレーション効果の概念を用いれば、(1)と(2)の結果は統一的に解釈できる。増配(減配)シグナルのベクトルと、それを別の角度から裏付ける成長(成熟)シグナルのベクトルが一致しているとき、将来の好(悪)業績を示唆する増配(減配)シグナルは信頼性が高いと評価され、さらなるプラス(マイナス)の評価を受けるのである。逆にベクトルが異なる増配(減配)シグナルの株価上昇(下落)効果は小さい。平成20年度の発見事項は、少なくともライフサイクル仮説とコラボレーション効果による仮説が併存するケースでは、後者が優位であることを証拠付けている。
|
Research Products
(1 results)