2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20730305
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
石川 博行 Osaka City University, 大学院・経営学研究科, 教授 (60326246)
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Keywords | 配当政策 / コラボレーション効果 / コロボレーション効果 / 業績予想修正 / 配当異動 / 赤字転落 / 無配転落 / 記念配当 |
Research Abstract |
利益変化と配当変化のアナウンスメントが相互に関連付けて評価されることを「コロボレーション効果(コラボレーション効果)(corroboration effect)」という。平成21年度は、経営者の利益予想と配当予想の修正が公表されたとき、両者のコロボレーション効果が株式市場に追加的なインパクトを与えているかどうかを実証分析した。直近約2年間に公表された延べ9,420個の業績予想修正・配当異動サンプルを分析対象として、コロボレーション効果の存在とその持続性の高さを肯定する証拠を得た。 具体的なインプリケーションは次のとおりである。(1)増益公表は株価上昇をもたらす。とりわけ増益と増配を同時公表すると株価上昇が大きい。同様に、(2)減益公表は株価下落をもたらす。とりわけ減益と減配を同時公表すると株価下落が大きい。増益(減益)予想修正と増配(減配)予想修正は、ともに将来業績に対する経営者の自信(悲観)を表す。利益変化と配当変化のベクトルが同じとき、市場は将来業績に対する経営者の見通しの信頼性が高いと評価し、より大きなプラス(マイナス)の評価を行うのである。逆に、(3)両変化のベクトルが異なるアナウンスメントの情報効果は相対的に小さい。 なお本分析では、(4)減益・減配のなかでも、赤字転落・無配転落の同時公表のマイナス・インパクトが最大である、(5)増益とのコロボレーション効果は、記念配当よりも普通配当を用いた増配の方が大きいという証拠も得た。これらの発見事項は、コロボレーション効果のインパクトが、利益変化や配当変化の内容(赤字転落や無配転落など)、さらには当該配当に備わっている拘束性の程度にも依存することを証拠付けている。
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Research Products
(1 results)