2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20730311
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
川島 健司 Hosei University, 経営学部, 准教授 (80406652)
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Keywords | 減損会計 / 遊休資産 / 回収可能価額 |
Research Abstract |
1 資産価値の測定基準のレビューおよび検討 各国における資産価値の測定基準(会計基準に含まれている)についてレビュー、整理、国際比較、検討を行い、各国の会計基準において資産価値の測定基準が生成された歴史的事実の過程をその論理とともに整理した。 2 会計基準設定過程における議事録、コメントレター分析の収集 会計基準設定過程における議事録、およびその審議に対して利害関係者から寄せられるコメントレターを収集した。これらは次年度において会計基準設定者や利害関係者の見解を分析する際に活用する。 3 日本企業における資産評価実務の実態分析 日本において減損会計基準を適用した企業を対象に、資産評価の実務について実態分析を行った。この成果は、川島健司(2009)「遊休資産の実態と情報開示」『新たな情報開示モデルとIR』日本インベスター・リレーションズ学会成果報告書, pp.113-125。としてまとめた。また、減損会計基準における資産価値の測定手続きについて、ディスクロージャー学会第10回年次大会(一橋大学)において研究発表を行った。 これらの主な発見は次のとおりである。実態分析での主要な発見は、第1に使用価値より正味売却価額が多く用いられていること、第2に対象資産の多くは遊休状態の土地であること、第3に対象資産が遊休資産の場合には正味売却価額が用いられる傾向があることである。一方、測定方法と測定時における企業の財政状態や業績水準との関係を分析すると、第1に回収可能価額の測定における正味売却価額と使用価値の選択においては、財務的健全性が高いほど使用価値が用いられない傾向があること、第2に使用価値が用いられるケースにおいては、業績が良好であるほど割引率が高く設定される傾向を発見した。これらの結果は、測定方法の選択が会計政策の一環として活用されていることを示唆している。
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