2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20730312
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Research Institution | Musashi University |
Principal Investigator |
坂井 映子 Musashi University, 経済学部, 准教授 (00386351)
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Keywords | リース会計 / 価値関連性 / 注記情報の有用性 |
Research Abstract |
まず、リース会計をめぐる会計基準設定上解決すべき課題を3点示し (注記情報の有用性、注記開示から本体認識への変更による証券市場の影響、リース取引に対する投資家の評価)、それらに焦点をあてた実証研究のサーベイを行った(坂井[2008])。 続いて、応募内容の「研究目的」に記した(課題1)注記情報と本体情報の株価に対する価値関連性の比較、を行った(Sakai[2009])。キャッシュフローベースで測定したリース費用と、注記に開示されている「売買処理した場合の(as-if purchase treatment)」リース費用のいずれがより株価と関連があるかを検証した結果、2003年3月31日を決算日に持つ年度(2002年度)に売買処理がより株価と関連があることが認められ、それ以外の年度では、それらに有意な差は見られなかった。売買処理自体に特別情報価値がないのであれば、オペレーティングリースの売買処理を検討中のEASBとIASBのジョイントプロジェクトに対して一石を投じる結果といえるだろう。それではなぜ2002年度には有意な差が見られたのだろうか。ひとつにはこの時期の国債の利回りが他の時期に比べてきわめて低かった、ということが考えられる。通常の債務であれば金利の低い時期に借り換えを行えるが、解約不能であるファイナンスリースについてはそうした借り換えはできない。そのため投資家が、この時期のリース取引については他の年度とは異なる評価をつけた可能性がある。2002年度にだけなぜこのような評価の違いが見られるのかについてより詳細に検証することも次年度の検討課題である。
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