2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20730318
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Research Institution | Momoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
中村 恒彦 Momoyama Gakuin University, 経営学部, 准教授 (50368388)
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Keywords | 利益の質 / 経路依存 / 研究開発費会計 / ソフトウェア会計 / キャッシュ・フロー会計 / 財務アナリスト |
Research Abstract |
研究実施計画では、本年度は経路依存性の分析を行うことになっていたが、昨年の研究成果より会計事象の検討が不足していることが判明した。そこで、本年度は、昨年度のその前提たる会計事象を詳細に分析することから始まった。新たにキャッシュ・フロー計算書の基準設定過程を詳細に分析して、「利益の質」という概念の変遷について検討を加えた。本年度は、この成果によって部分的ではあるが、利益の質と経路依存性の関係を明らかにすることができた。すなわち、利益の質は、財務アナリストの実務や資金学説などから生まれたと推測できるわけであるが、概念自体が一人歩きしはじめたということであろう。その結果、利益の質という言葉が多義にわたる定義を含む状態になったのではないだろうか。 以上の研究成果から利益の質に関わる研究にとって、次の点が重要であると考えられる。「利益の質」の概念を提示するだけではなく、「誰が、いつ、どのように」使用した定義なのかを特定した上で研究する必要があるということである。そうしなければ、利益の質という言葉が本来持っている方向性を理解しないままの研究となり、利益の質という言葉が別の方向性をもつようになる。その結果として、利益の質という言葉がさらに混乱をしていくのではないだろうか。 本年度の研究成果より、さらに検討すべき課題が示されることになった。本年度以降についても研究を継続し、学会や論文にて積極的に発表したいと考えている。
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