2008 Fiscal Year Annual Research Report
メディア・リテラシーと社会階層に関する計量社会学的研究
Project/Area Number |
20730327
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
橋本 摂子 Tokyo Institute of Technology, 社会理工学研究科, 助教 (70323813)
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Keywords | 社会階層 / メディア接触 / デジタル・ディバイド / 不平等 / 計量分析 |
Research Abstract |
平成20年度は、申請書に記載した計画に沿って研究を進めた。まず、JGSS-2005データを通じて、マスメディア一般に見られる接触頻度の階層的特性について、大まかな特徴をつかむための予備的な分析をおこなった。一般的なマスメディアとしては、TV・新聞・書籍・映画・インターネットを取り上げ、JGSS-2005における接触頻度のセルフ・レポート項目を利用し、どのような階層特性を持つ人々がどのメディアを好むのか、メディア選好の階層的特長を明らかにした。「階層特性」として使用した指標は、就労状況(職種・就労上の地位・収入・職業威信スコア)、世帯収入、学歴、父の職種、父母の学歴等である。各メディアの接触頻度とそれぞれの変数の関連を調べることで、メディアと社会階層の相関関係を計測した。社会階層ともっとも関連の弱いメディアはTVであり、TVの視聴時間は非階層的なライフスタイル項目に規定されていることがわかった。社会階層と強い関連を持つメディアは、全国紙新聞およびインターネットであった。特にインターネットの利用頻度の分散は、年齢、学歴、職業、所得といった代表的な階層的変数と高い共変動が観察され、メディア・リテラシーにおける階層格差を明らかにするにあたり、インターネット・アクセスの促進・抑制要因の解明が大きな鍵になることが示唆された。 それと並行して、近年隆盛する「公共圏」論をめぐって、公共圏の社会的機能の系譜をたどる理論研究を進めた。これらの作業を通じて、インターネットに公論形成の場を読み込もうとする動きが高まるなか、ネットユーザーの階層的特性を定量的に明らかにする重要性を明らかにした。
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