2008 Fiscal Year Annual Research Report
日比国際児のアイデンティティ構築に関する日比比較研究~支援組織の役割に着目して
Project/Area Number |
20730328
|
Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
小ヶ谷 千穂 Yokohama National University, 教育人間科学部, 准教授 (00401688)
|
Keywords | 日比国際児 / フィリピン / 国際移動と子ども / 支援組織 |
Research Abstract |
研究初年度にあたる本年度は、フィリピン在住の「日比国際児」のアイデンティティ構築過程について、a. 「日比国際児」と自己認識する/しないに至った経緯、b. 支援組織との具体的な関わりの有無、を軸に非指示面接調査及びフォーカス・グループ・ディスカッション(FGD)を実施した(2008年8月及び2009年2月)。調査にあたっては、筆者がこれまでボランティア・スタッフとして活動に携わってきたマニラに拠点を置くNGO、DAWN(Development Action for Women Network)の協力を仰いだ。2008年8月の調査では、また支援組織に属さない(あるいは過去に所属していた)日比国際児へのインタビューも行った。また2009年2月の調査では、DAWN以外の支援組織に所属する日比国際児に対するFGDもあわせて実施した。 その結果、フィリピン在住の子どもたちの「日比国際児」としての自己認識は、(1) 支援組織のさまざまな活動に参加すること、および(2) 支援組織における日本人支援者との交流、の中で徐々に立ち上がってきている、という興味深い知見が得られた。また、日本を訪問する機会を得た子どもたちは、日本社会で暮らす人々との接触によって自らの「日本」のルーツを意識するようになっていた。と同時に、「フィリピン」のルーツの存在が再認識される契機ともなっていた。また、子どもたちと母親とでは、支援組織に対する期待の内容が異なっていることも、明らかとなった。
|