2010 Fiscal Year Annual Research Report
日比国際児のアイデンティティ構築に関する日比比較研究?支援組織の役割に着目して
Project/Area Number |
20730328
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
小ヶ谷 千穂 横浜国立大学, 教育人間科学部, 准教授 (00401688)
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Keywords | 日比国際児 / フィリピン / 国際移動と子ども / 支援組織 |
Research Abstract |
研究最終年にあたる本年度は、過去2年間の主としてフィリピンにおける調査から得られた知見の成果発表、および理論的検討作業にあたった。また、2010年8月および2011年2月には補足調査を行った。 昨年度、一昨年度の調査から、フィリピン在住の日比国際児者が自らを「JFC」として認識する上で、支援組織とのかかわりが重要な契機となっていることが発見された。また、支援組織とのかかわりの中でも、特に日本人支援者や来訪者、日本での交流活動の経験などが、「父親が日本人で母親がフィリピン人」という客観的な条件を越えた彼ら・彼女らの「JFC」としてのアイデンティティ構築過程を構成していることがわかった。また、子どもたちの学校と支援組織、そして家庭での自己認識はそれぞれ異なり、特に支援組織が、他の子どもたちとの出会いを通じて最も強く「JFCである」という自己認識がなされる「場」であった。 これらの調査から得られた知見を踏まえて、本年度後半には、「JFCのアイデンティティ構築過程は、日比間のトランスナショナルな支援運動のネットワークの中に見出される」という命題を理論化し、特にトランスナショナルなシチズンシップ、という概念との関連において議論を試みた。今後は、シチズンシップ論の観点から日比国際児のアイデンティティについて理論的に検討していく予定である。 また、本研究の当初の目標であった「日比比較」という観点は十分に展開できなかった。この点については、日本での就労機会を得た日比国際児の調査研究という次の研究課題との関連において検討していく。
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