2010 Fiscal Year Annual Research Report
現代保健医療福祉における「予防」実践に関する臨床社会学的研究
Project/Area Number |
20730331
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
井口 高志 信州大学, 医学部, 講師 (40432025)
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Keywords | 予防 / ケア / 認知症 |
Research Abstract |
本研究は、中高齢期の医療・保健・福祉領域における「予防」志向の強まりの内実と社会的意義(功罪)、および、その志向が中高年期の人びとの生や、その支援に関わる人々に対してもたらす影響について明らかにすることを目指すものである。以上の目的に対して、具体的には、インタビュー調査などで現場の実践を明らかにするミクロな研究と、現代社会の論理の変化や財政などの動きを追うマクロレベルの研究という二つの作業を通じて明らかにしていく。 まず前者に関して、3年目に当たる22年度は、昨年度までに実施した若年認知症の人に対する予防とケアをともに実践しているデイサービスへのフィールドワークのデータをもとに論文を執筆し、現在学会誌、および編著本に投稿中である。 今年度は後者に関する論文の執筆が中心となった。当初の研究計画では認知症ケア領域だけでなく保健医療福祉実践全般の考察という形で立てていたが、高齢者介護政策が認知症という対象を中核に置いて進められていることを鑑み、戦略的に認知症ケア中心に考察を深めていく方向性に微修正した。具体的には、家族社会学の研究動向全体の中において研究を位置づけるような論文、高齢者介護政策全般の動きの中に予防を重視したケアの登場がどういった意味合いを持っているのかを位置づけるような論文を学会誌に執筆した。また、認知症の人の差別・排除という文脈の中で、予防志向的に関わっていくことがいかなる意義を持っているのかを明らかにするような論文を執筆した。以上のように本年度は特に認知症ケア領域に絞る形で、マクロな予防志向の強まりの持つ意義を明らかにするような作業を中心に行った。
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