2009 Fiscal Year Annual Research Report
「学生運動世代」のライフコースに関する日独比較研究
Project/Area Number |
20730332
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
青木 聡子 Nagoya University, 環境学研究科, 講師 (80431485)
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Keywords | 社会学 |
Research Abstract |
本年度は、ドイツ最大の環境運動団体であるドイツ環境自然保護連盟(BUND)のなかでもフライブルク支部に所属するメンバーを対象とした調査票を作成し、質問紙調査を実施した。昨年度までは、「学生運動世代」について、日独の大学(東北大学・ハンブルク大学)の卒業生から調査対象をピックアップすることを想定して質問紙調査の準備を進めていたが、本年度に入り当初予定していたこれらの対象への調査の実施が困難となり、環境運動団体メンバーへと対象を変更した。これに伴い、予備調査やBUNDスタッフとの事前打ち合わせを現地でおこない、そこから得られた情報や知見をもとに、メンバーのBUNDへの参加動機、これまでの運動経験、BUNDの活動への参加頻度、政治意識、環境意識、などを問う質問紙を作成した。BUNDスタッフのスケジュールや、クリスマス・復活祭に伴う長期休暇等現地の都合を考慮した結果、3月上旬の質問紙配布となった。対象はBUNDフライブルク支部に所属する全メンバー1317名である。約1ヶ月後を締め切りと設定し回収をおこなった結果、現時点で373通の返答を得ている。回収率28.3%であり、当初想定していた数値(10%前後)を大きく上回った。得られたデータは、環境運動団体への参加動機、団体へのコミットメントの強弱、運動経験、政治意識などに関して、「学生運動世代」と非「学生運動世代」の比較を可能にするものである。また、今年度は質問紙調査と並行して、日独の運動団体メンバーや運動関係者を対象としたライフヒストリーの聞き取り調査もおこなってきた(延べ人数で30名あまり)。ライフヒストリーの聞き取りは22年度も継続しておこなっていく。質問紙調査と聞き取り調査から得られたデータの分析を進めることで、ドイツにおける「学生運動世代」の政治的社会化過程の導出を見込んでいる。さらに、日本の「学生運動世代」に関しても同様の質問紙調査をおこない、日独比較へと展開する見込みである。
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