2009 Fiscal Year Annual Research Report
ひきこもり関連ライフトラブルの包括的プロフィールと地域支援拠点の研究
Project/Area Number |
20730333
|
Research Institution | Aichi University of Education |
Principal Investigator |
川北 稔 Aichi University of Education, 教育学部, 准教授 (30397492)
|
Keywords | ひきこもり / 社会学 / 地域支援拠点 / NPO / 精神保健福祉 |
Research Abstract |
「ひきこもり」問題が示してきた対人関係上の困難と、失業やワーキングプアなどの経済的困難との間で、支援現場レベルにおいても重なりが認識されるようになってきた。双方の「生きづらさ」の広まりを受けて、支援手法にはどのような変容がみられるのか。それぞれの問題に取り組む支援団体に聞き取り調査をおこなった。 第1に、実態レベルにおいて「ひきこもり」支援団体において生活保護や障害者年金受給の例が、複数聞かれるようになった。野宿者支援の団体においては、自宅に引きこもったまま両親の他界などによって経済的に困窮に陥り、支援の場を訪れる人の存在が認知されている。 第2に、支援手法や理念について。経済的困難の解決後にも残る孤立の問題に対応するため、「居場所」型支援が野宿者支援の団体によっても模索されるようになった。これは「ひきこもり」支援団体が実践を蓄積してきた手法である。他方、「ひきこもり」支援においては対人関係上の支援が先行し、年齢上のタイムリミットに直面してから障害者福祉や生活保護の制度が検討されることが多い。そこには「ひきこもり」支援における対象者の境界設定や光対象者の「成長」に対する独特の期待が垣間見える。これを受けて、個々の「ひきこもり」当事者や家族の福祉制度利用に対する意識を質問紙調査において今後明らかにしたい。
|