2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20730337
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
鶴田 幸恵 Nara Women's University, 大学院・人間文化研究科, 助教 (00457128)
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Keywords | 性同一性障害 / 性の多様化 / 医療化 |
Research Abstract |
性同一性障害の診断場面における性別の取り扱われ方を明らかにするために、東京の精神科クリニックにおいて、ガウンセリング場面の録画・録音調査を行ない、28人のケースを集めることができた。臨床心理士と精神科医が両方カウンセリングを行なう日に調査日を集中させ、臨床心理士のカウンセリングも撮れるように努めた。昨年からの調査を通して精神科医・臨床心理士と信頼関係を深めることができ、調査日に一緒に休憩をとることによって、他クリニックの事情も知ることができた。分析結果は、2冊の論文集に論文を寄稿しており、まもなく出版予定である。調査を継続させ、引き続き分析結果を発表していく。また、先に行なっておいた医療者2名の分析を進めているところであり、さらに1名にインタビューを行ない、新たに3人からインタビューの了承を得た。医療者にインタビューを行なっている先行研究は日本にはないので、分析の成果が期待される。 昨年、FtX(Female to X)やFtM(Female to Male)、加えて彼らを恋愛対象とする人びとが集まる「中性ボーイッシュ」の集会において配票調査を行い、インタビューの了承を得た19名のうち、14人にインタビューを行なった。順次トランスクライブし、分析を行ない、最近の女から男、あるいはどちらでもない人に性別を移行しようとする人の傾向について、発表していく。 東京・神奈川と奈良・大阪・京都での自助グループなどの集会に継続的に参加し、他のマイノリティと、より性の多様なあり方を認め合っている関西地方と、そうとはいいにくい関東の傾向の違いを引き続き調査し、その傾向に焦点化したインタビューの承諾を4名から得た。インタビューは来年度に実施予定である。 「性の越境を明らかにしながらの就労」の仕方、受け入れについては、2名からインタビューの承諾を得ており、来年度6月に、もう1名に職場の上司、同僚へのインタビュー、就労状況の参与観察もインタビューと合わせて行えるよう承諾を得た。就労場面の具体的な相互行為分析を行なった研究もないので、これについても成果が期待される。
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Research Products
(3 results)