2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20730339
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Research Institution | Tsuru University |
Principal Investigator |
朝井 志歩 都留文科大学, 文学部, 非常勤講師 (70405091)
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Keywords | 環境問題 / 市民活動 / 米軍基地 / リスク / 原子力空母母港化 / 横須賀基地 / 厚木基地 / 岩国基地 |
Research Abstract |
本年度は科研費の最終年度であるため、厚木基地と岩国基地での基地騒音問題に関する追跡調査についてと、横須賀基地での原子力空母母港化問題についての研究についてまとめることを目標に研究を進めた。特に、横須賀基地での原子力空母母港化問題を中心に調査を行い、この問題に取り組んでいる横須賀の運動団体が主催したシンポジウムや学習会に出席し、参与観察をした。さらに、横須賀市基地対策課の職員に対して聞き取り調査を行い、原子力空母母港化を受け入れた経緯や市としての考え方などについて話を伺った。これらの調査の成果を論文としてまとめ、『環境社会学研究』第18号に投稿した。また、基地騒音問題の解決策を基に、環境問題の規範理論について考察した「環境問題の解決策をめぐる規範理論-基地騒音問題から考える環境正義-」という論文を執筆し、2011年10月に『都留文科大学研究紀要』第74集に掲載された。 さらに、これまでの厚木基地と岩国基地、横須賀基地に関する研究で執筆し、各所に掲載された論文を加筆・修正して科研費研究成果報告書「米軍基地での環境問題をめぐる市民運動と地域社会」を作成し、被調査者に送付して研究成果の還元に努めた。また、2012年秋に法施大学出版局から刊行予定の『公共圏と熟議民主主義現代社会の問題解決』(編著者舩橋晴俊・壽福眞美)での一章として、「米軍基地と公共圏-岩国基地の拡張・機能強化から見た意思決定過程-」が掲載されることになったため、その加筆・修正・校正を行った。 学会発表としては、2011年6月の環境社会学会大会で「軍事活動に伴う環境被害」という企画セッションを立ち上げ、研究会のメンバー各自で報告をした。私は第一報告として「環境社会学から見た軍事的活動による公害・環境問題」という報告をし、地域、被害、支配・被支配関係、負担の格差などへの注目など、環境社会学の研究蓄積が、軍事的活動による公害や環境問題を研究する上でも示唆的であることや、平和学での「構造的暴力」や「サブシステンス」という概念が問題構造の解明に有効であることなどを提示した。
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Research Products
(3 results)