2008 Fiscal Year Annual Research Report
近現代出版メディアに関する歴史社会学的研究-大宅壮一を中心に-
Project/Area Number |
20730343
|
Research Institution | Miyazaki Municipal University |
Principal Investigator |
阪本 博志 Miyazaki Municipal University, 人文学部, 准教授 (10438319)
|
Keywords | 大宅壮一 / 『平凡』 / 近現代メディア史 / ライフヒストリー / 戦間期 / 高度成長期 / 昭和30年代 |
Research Abstract |
前年度大宅壮一についてまとめた論考(「大宅壮一研究序説-戦間期と昭和30年代との連続性/非連続性」『文学』2008年3・4月号)を更に発展させるべく、今年度は次の3点から研究を進めた。 第1に、昭和30年代に最盛期を迎えた大宅のライフヒストリーを通して近現代出版メディアを歴史社会学的に論じる基盤を整地すべく、それまで行ってきた1950年代を代表する大衆娯楽雑誌『平凡』の研究をまとめた書物を上梓した(『「平凡」の時代1950年代の大衆娯楽雑誌と若者たち-』昭和堂)。これは、その影響力の大きさにもかかわらず先行研究の乏しかった『平凡』に関する初のまとまった著作であり、第30回日本出版学会賞奨励賞を受賞した。そのほか現在まで25を越える新聞・雑誌で書評・紹介がなされるなど、その重要性は広く認識されている。 『平凡』についてはこのほかにも知見を発表するとともに(たとえば、「"見る雑誌"『平凡』の時代」『占領期雑誌資料体系大衆文化編II月報2』岩波書店)、昭和30年代の出版メディアについても考察した(「書評藤井淑禎『清張闘う作家』」『立教大学日本文学』第100号)。このようにして、近現代出版メディア史の文脈から大宅を議論する下地を整地した。 第2に、全集未収録のものを中心に大宅の著作を収集するとともに、生前の大宅を直接知る人達へのインタビューを行った。これらで得た知見は次年度以降発表する予定である。そのほか、大宅の全体像について広く一般に解説するものを執筆した。これは2009年4月5日付『毎日新聞』に掲載された。 第3に、出版文化とライフヒストリーとの関連についての具体的な事例に即した考察を、学会等で報告するとともに、論文にまとめ投稿した。これは次年度発行予定の学術雑誌に掲載される予定である。
|
Research Products
(5 results)