2008 Fiscal Year Annual Research Report
観光と政治--戦前期における中国人の「満洲」ツーリズム
Project/Area Number |
20730348
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Research Institution | Komazawa University |
Principal Investigator |
高 媛 Komazawa University, グローバル・メディア・スタディーズ学部, 講師 (20453566)
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Keywords | 満洲 / 観光 / 空間認識 / 帝国 / 植民地 / モダニティー / 戦争 / メディア |
Research Abstract |
本研究は、戦前期「満洲」において行われた中国人の観光について、歴史社会学的観点から分析しようとるものである。観光を近代的娯楽であると同時に、国民国家の空間認識をさせるための装置として両義的に捉える。観光が持つ両義性への着目は、観光を行った中国人の日常生活を浮き彫りにするだけでなく、そこに埋め込まれていた政治性を明らかにすることになる。こうした政治性の解明は、満洲で作動していた権力の実態を浮き彫りにし、満洲社会の新たな側面を提示することになる。 今年度は、満洲時代における中国人向け観光産業および中国人の観光体験を考察するため、当時広く行されていた中国語新聞・雑誌や満鉄発行の中国語パンフレットなどを中心に、基礎史料の発掘と整理を行った。 海外では国東北地方と北京の図書館、国内では滋賀県立大学と神戸大学などで史料調査を行い、大連大学や東北師範大学で満洲研究に従事している中国人研究者たちと意見を交わした。 次年度は、史料調査を続けながら、収集した史料の分析を進め、中国人向け満洲観光の背景と実態を究明していきたい。 なお、本研究と相補的関係にある「日本人の満洲観光」については、「大連新聞』(1920〜35年)主催のメディア・イベント「満洲八景」を手がかりに、日本語メディアと観光イベントとの関係性を明らかにした。その成果は論文「租借地メディア「大連新聞』と「満洲八景』」としてまとめ、『Journal of Global Media Studies』(紀要第4号)に発表した。
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