2009 Fiscal Year Annual Research Report
財政再建をめぐる意思決定システムに関する社会学的視点からの比較研究
Project/Area Number |
20730357
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Research Institution | Kanto Gakuin University |
Principal Investigator |
湯浅 陽一 Kanto Gakuin University, 文学部, 准教授 (80382571)
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Keywords | 財政再建 / 青森県 / エネルギー |
Research Abstract |
平成21年度は、研究目的を達成するため、9月と2月の2度にわたり、青森県内にて現地調査を行った。本研究課題における青森県調査の実施は、当初の研究実施計画に記載したように、以下のような意味をもっている。すなわち、わが国有数の原子力関連施設の集中立地地域である青森県には、補助金等の形で多額の資金が投与され、青森県や六ケ所村などの立地および近隣市町村の財政は、これらの資金に大きく依存している。このような特定の産業、とくにエネルギー産業への高度の依存は、夕張市や旧赤池町など、かつての産炭地域を彷彿とさせるものである。もとより、原子力と石炭では諸々の条件が異なるわけであるが、両者の比較研究を行うことは、研究課題を達成するために非常に有意味である。9月の調査では、こちらも当初の研究実施計画に記載のとおり、法政大学社会学部舩橋晴俊教授の研究室との連携の観点から、合同で調査を行った。その際、原子力および財政関連の資料を収集するとともに、六ヶ所村をはじめとする青森県内で風力などの自然エネルギーの導入が進んでいることをふまえ、今後、風力発電などの普及にとって鍵となると考えられる諸主体(県庁、金融機関等)へのインタビュー調査も併せて行った。2月の調査では、青森県の財政状況に関して不足している資料を収集するとともに、原子力関連施設が立地していない市町村の財政状況に関するデータを広く集めた。これは今後、同じ青森県内で、原子力関連施設が立地している地域とそうでない地域の財政状況を比較するためである。これらの調査と過年度までの研究の結果、地域社会内で生じている諸課題と自治体財政との「相互作用」ないし「循環」の分析という、研究目的達成のための核となるアイデアを形成することができた。
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