2008 Fiscal Year Annual Research Report
リソースパーソンとしての障害者観の内実とその普遍化可能性に関する研究
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20730363
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Research Institution | National Cancer Center Research Institute and Research Center for Innovative Oncology, National Cancer Center Hospital East |
Principal Investigator |
八巻 知香子 National Cancer Center Research Institute and Research Center for Innovative Oncology, National Cancer Center Hospital East, 腫瘍ゲノム解析・情報研究部, 研究員 (60392205)
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Keywords | 医療・福祉 / 社会学 / 障害者観 / 能力観 / 共生 |
Research Abstract |
【研究方法】初年度には、探索的な質的調査として、精神障害者の個々人の能力にあわせた職場づくりをしていることで知られる浦河べてるの家をフィールドとして、下記の面接調査およびグループディスカッションによるデータを収集し、分析した。なお本研究では、研究の協力を得た浦河べてるの家の方針に基づき、施設名を明らかにした。 1)浦河べてるの家のメンバー(利用者)14名、スタッフ2名と、自閉症の当事者であり自閉症児・者支援の研究者でもあるスティーブン・ショア氏によるパネルディスカッション 2)浦河べてるの家のメンバーの能力を活かした仕事づくりを行っている「MCメディアン」の経営者への面接調査それぞれにおいて、障害を持ちながら就労するための難しさ、工夫やこつについて自由に語ってもらい、会話の内容を質的に分析した。 【研究結果】精神障害の当事者により就労の難しさとして語られたのは、仕事の内容そのものに対する苦痛ではなく、「仕事に行く前に体調が悪くなるなどして職場に行くことができない」、「周囲のサポートの有無に関わらずとにかく辛く感じる」といった"自分自身の状態のコントロールの難しさ"についてであった。こうした状態に対する専門家・支援者から出された就労環境の作り方の工夫は、「本人が好きなこと、快適なことを仕事内容に活かす方法を考える」「自分を快適に保つための方策を蓄積する」「一緒に働く人たちとの関係構築を最優先する」という"本人の自己コントロールを可能にする環境づくり"が最も重視されていた。すなわち、労務内容に直結する作業能力の強化ではなく、作業能力を発揮するための本人の状態を含む職場環境づくりが支援を必要とする対象であり、またそれが支援されることで就労が可能となっていることが示された。
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Research Products
(1 results)