2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20730370
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Research Institution | Hokusei Gakuen University |
Principal Investigator |
木下 武徳 Hokusei Gakuen University, 社会福祉学部, 准教授 (20382468)
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Keywords | アメリカ / 民間福祉 / NPO / 組織 / 運営 |
Research Abstract |
本年度の研究目的は、アメリカにおいて福祉サービスの提供を行っている非営利団体と営利企業の財源や組織性に関する実態とそれが抱えている諸問題について、民間財源を中心に検討することである。 第一に、民間財源とその課題について、貧困問題に焦点をあてたロサンゼルス(LA)のUnited Wayの老舗の財団では広く寄付金を集めるため貧困問題の情報を積極的に配信し、またNPOへの投資も貧困問題についてのプロジェクトを展開し、貧困問題に社会の関心を向けていくためのアプローチをとっていることが分かった。LAのChrysalis、Alexandria House、Little Tokyo Service Centerなど多くのNPOは寄付を集めるために、寄付者への情報提供も兼ねて著名人を積極的に呼んでパーティ等のイベントを開催し、その収益がかなり大きなものになっていた。このように世論喚起と合わせた財源調達の方法を中心に事例研究によって明かにできた。 第二に、非営利団体と営利企業との組織特性の比較については、両者の特徴が近接化していることが研究の中では指摘されている。非営利団体は社会的企業として収益事業に傾斜し、その差異がなくなってきていると言われでにる(Wargner2000等)。そのため少なくとも多くの非営利団体の研究者は「非営利事業とボランタリー活動のバランス」が必要だと警告がなされている(Frumkin2002等)。ただし、今日、ボランタリー活動と非営利事業の区別がなされていないなかで、どう区別し、差異化していくことができるかが今後の課題として浮き彫りになった。
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